Xの凍結が「いいね」で起きたとき、異議申し立てに返信が来ない理由

短時間にたくさんの「いいね」をしたあと、Xのアカウントが凍結された。毎月のように異議申し立てを送っているのに、返信は一度も来ない。弊所には、こうした状態のまま数か月が過ぎてしまったというご相談も寄せられます。

この記事では、実際のご相談をもとに、凍結の理由として考えられること、返信が来ない背景、申し立てを出し直す前に見直したい点を順番に整理します。結論から言うと、同じ内容の申し立てを毎月くり返すよりも、いまのアカウントの状態を正確に確かめたうえで、原因への説明と再発防止をそろえた申し立てを一度きちんと出すほうが、状況を動かしやすいと考えています。

筆者は、凍結解除のご相談を受けるようになる前、事業会社の側で、凍結や利用停止について本人や代理人から届いた書面を読み、対応方針を検討する業務に関わっていました。この記事では、申し立てを送る側だけでなく、受け取る側から見えていたことも交えてお伝えします。

この記事で確認すること

1 通知にある「信頼性」が示しているもの
2 届いたのは「凍結」か「ロック」か
3 異議申し立てに返信が来ない理由
4 申し立てを出し直す前に見直したいこと
5 情報流通プラットフォーム対処法との関係

ご相談の事例

ご相談者は、個人でXを利用している方です。短時間のうちに多くの投稿へ続けて「いいね」をしたところ、その後アカウントが凍結されました。画面の表示から、永久凍結ではないと受け止めていらっしゃいます。

これまでの経過を並べると、次のとおりです。

時期 出来事
6月 アカウントが凍結される。最初に届いた通知には「信頼性」に関するルールに違反したと書かれていた
7月〜10月 ご本人が月に1回、異議申し立てを送る
現在 どの申し立てにも返信がなく、凍結も解除されていない

ご本人の心当たりは、大量の「いいね」です。以下では、いいねはご本人が手作業で行い、自動化ツールや複数のアカウントは使っていないという前提で解説します。

1 通知にある「信頼性」が示しているもの

Xのルールは大きく「安全」「プライバシー」「信頼性」の三つの分野に分かれていて、スパムやプラットフォームの操作、偽アカウントに関する決まりは「信頼性」の分野に置かれています。最初の通知に「信頼性」とあったのは、今回の凍結がこの分野の違反として扱われたことを示していると読めます。

この分野で問題にされるのは、投稿の中身よりもアカウントの振る舞いです。短時間に大量のいいね、フォロー、リポストを続けると、人の手による普段の利用なのか、自動化ツールや注目度を人為的に引き上げる行為なのか、外からは見分けがつきにくくなります。判定の多くは自動の仕組みで行われているため、悪意がなくても、振る舞いの形だけで違反と判断されることがあります。

裏を返せば、申し立てで説明すべきなのは「投稿の内容に問題はない」ということではありません。なぜその時間にそれだけのいいねをしたのか、それが自動化ではなくご本人の操作だったのか、今後同じことをしないために何をしたのか。振る舞いについての説明が中心になります。

受け取る側から見ると

書面を受け取る側にいたとき、判断に困ったのは、記録に残っている振る舞いと書面の説明が食い違っているものでした。操作の記録があるのに「いいねはしていない」と書かれていると、ほかの説明まで信用しにくくなります。大量にいいねをした事実は認めたうえで、そのときの状況と理由を説明している書面のほうが、措置を見直すかどうかをずっと判断しやすくなります。

2 届いたのは「凍結」か「ロック」か

ひとくちに「凍結」と呼ばれていても、実際にはいくつかの状態があり、どれに当たるかで解除までの手順が変わります。まずここを確かめるのが出発点です。

状態 ログインしたときの様子 解除に向けた主な手順
一時的な機能制限 ログインはできるが、いいね・フォロー・投稿などが一定期間できない 表示された期間が過ぎるのを待つ。期間中に同じ操作を試すと延びることがある
ロック ログイン後に確認画面が出て、電話番号の認証や違反とされた投稿の削除などを求められる 画面の指示に沿って手続きを終える。異議申し立ては基本的に要らない
凍結 ログインしても閲覧しかできない、またはプロフィールに凍結の表示が出る 異議申し立てを送り、審査を待つ

今回のご相談では「永久凍結ではない」と受け止めていらっしゃいますが、ロックなのか、期間付きの制限なのか、審査待ちの凍結なのかは、ログインしたときの画面を見ないと判断できません。

ロックの場合、画面上の手続きを済ませれば解除されるのに、その手続きをしないまま異議申し立てだけを送り続けているケースが少なくありません。この場合、申し立てへの返信を待っていても状況は動きません。

3 異議申し立てに返信が来ない理由

4か月以上返信がない場合、審査が遅れているだけとはかぎりません。申し立ての出し方や、受け取る側の環境に原因があることも多くあります。ご相談を受けたときに確かめているのは、主に次の四つです。

一つは、返信の届け先です。返信はアカウントに登録したメールアドレス宛てに、英語の件名で届くことがあります。登録したアドレスを長く使っていない、迷惑メールフォルダに振り分けられている、といった理由で見落としている例は珍しくありません。

二つ目は、申し立ての種類です。凍結への異議申し立てとは別に、ロックの解除やログインできないときの問い合わせなど、目的ごとに窓口が分かれています。いまの状態に合わない窓口から送っていると、審査の対象として扱われないことがあります。

三つ目は、同じ内容の申し立てを重ねていることです。同じ件について同じ文面を何度送っても、審査が早まるとは考えにくく、重複として処理される可能性もあります。毎月送り直すこと自体に効果を期待するのは難しいと考えたほうがよいでしょう。受け取る側からすると、前回と同じ文面が届いても、新しく判断できる材料が何も増えていないためです。

四つ目は、申し立ての中身です。「何もしていない」「間違いだと思う」とだけ書いた申し立ては、判断を変える材料がありません。振る舞いが違反と判断されている以上、その振る舞いへの説明がない申し立ては、凍結を続ける判断につながりやすくなります。

4 申し立てを出し直す前に見直したいこと

出し直す前の準備は、状態の確認、受け取る環境の確認、申し立ての組み立ての三段階で考えると整理しやすくなります。

段階 確かめること
いまの状態を確かめる ログインして表示される画面を、日付が分かる形で保存する。電話番号の認証や投稿の削除などを求められていないかを見る。最初の通知メールを探し、違反とされた分野と日付を控える
返信を受け取れる環境を整える 登録したメールアドレスがいまも使えるかを確かめる。迷惑メールフォルダも含めて、これまでの申し立てのあとに届いたメールを探す。X関連のメールが振り分けられないよう受信設定を見直す
申し立ての中身を組み立てる いいねをした日時の範囲と、そのときの状況を具体的に書く。手作業で行ったこと、自動化ツールや外部アプリを使っていないことを書く。連携しているアプリがあれば解除したことを書く。ルールを確認し、今後は短時間に大量の操作をしないことを書く。過去に申し立てを送った日付を並べ、返信がないため改めて送っていることを添える

申し立ては、事情を長く書き連ねるよりも、事実、原因の説明、再発防止の順に短くまとめるほうが読まれやすいと考えています。送った日時、内容、受け取ったメールは時系列で記録しておくと、追加の資料を求められたときにも経緯を正確に説明できます。

同じ「大量のいいね」でも、書き方しだいで伝わり方は大きく変わります。受け取る側から見て、判断しにくい書き方と判断しやすい書き方を並べると、次のようになります。

項目 判断しにくい書き方 判断しやすい書き方
事実 「何もしていない」と全面的に否定する いいねをしたおおよその日時と量を認める
理由 「普通に使っていただけ」で終わる 過去の投稿をさかのぼって続けていいねした、など、そのときの状況を具体的に書く
操作した人 触れていない 本人の手作業であること、ツールを使っていないこと、連携アプリを解除したことを書く
再発防止 「今後気をつけます」だけ 一度にまとめて操作しない、など、何をどう変えるかを書く
これまでの経緯 毎回同じ文面を送る 過去に送った日付を並べ、返信がないため改めて送っていると書く
長さと語調 長文で、困っている事情や不満が中心 短く、事実、説明、再発防止の順

書面を受け取る側にいたときの感覚でいうと、窮状を訴える文章よりも、何があったのかがすぐに分かる文章のほうが結論を出しやすいものでした。困っている事情はよく伝わっても、それだけでは措置を見直す根拠にならないからです。

今回のご相談に当てはめると、申し立ての文面はたとえば次のようになります。

SAMPLE

【6月○日】ごろ、私はこのアカウントで、【好きなアカウントの過去の投稿をさかのぼりながら】、短時間のうちに多くの投稿へいいねをしました。いいねはすべて私自身が手作業で行ったもので、自動化ツールや外部のアプリは使っていません。連携していたアプリもすべて解除しました。

短時間に大量の操作をすることがXのルールに反するおそれのある行為だと理解し、今後は一度に多くの操作をしないよう使い方を改めます。

凍結のあと、【7月○日、8月○日、9月○日、10月○日】に異議申し立てを送りましたが、返信がないため改めてお送りします。アカウントの凍結について、再度のご検討をお願いいたします。

*【】の部分はご自身の状況に合わせて書き換えてください。事実と異なる内容は書かないでください。

解除を待つあいだに新しいアカウントを作るのは避けてください。凍結を回避するための別アカウントは、それ自体がルール違反とされるおそれがあり、元のアカウントの審査にとっても望ましくありません。

5 情報流通プラットフォーム対処法との関係

2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法は、大規模なプラットフォーム事業者を総務大臣が指定し、削除対応の迅速化と運用状況の透明化を義務付けています。総務省は2025年4月30日に、Xを運営するX Corp.を指定しました。

利用者の側から見て関係が深いのは、運用状況の透明化に関する次の義務です。

条文 内容
第26条 削除などの措置をとる基準を、できるかぎり具体的に、分かりやすい日本語で定めて公表する
第27条 措置をとったときは、原則として遅滞なく、その事実と理由を発信者に知らせる。理由は異議申し立ての参考になる程度に具体的であることが求められる
第28条 措置の実施状況を毎年公表する。公表する事項には、アカウントの停止(役務提供停止措置)の対象になった発信者の数も含まれる

今回のようなケースでは、最初の通知に書かれた違反の分野と、Xが公表している基準を照らし合わせることが、申し立ての説明を組み立てる手がかりになります。

この法律は、異議申し立てへの返信の期限を定めたものではありません。法律を根拠に申し立てへの回答を求めたり、解除を強制したりできるわけではない点には注意してください。

まとめ

返信のない申し立てを毎月くり返すより、状態の確認と受け取る環境の見直しを済ませ、振る舞いへの説明と再発防止を書いた申し立てを一度出し直すことをおすすめします。凍結かロックか、返信がどこかで止まっていないか、申し立てが通知の指摘に答えているか。この三つを見直すだけでも、止まっている理由が見えてくることがあります。

なお、解除を確実にする方法はなく、最終的な判断はX側の審査によります。解除をうたってログイン情報を預かろうとする業者もいるため、パスワードなどの認証情報は第三者に渡さないでください。

それでも先に進めないときは、届いた通知やこれまでの申し立ての内容をそのままお送りください。事実関係と証拠を整理し、申し立てに使う書面の作成までお手伝いします。

解除されない凍結のご相談

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執筆・運営について

リーリエ行政書士事務所

SNSアカウントの凍結解除・乗っ取り復旧を専門とする行政書士事務所です。事業会社の側で、凍結・利用停止に関する書面を受けて対応方針を検討する審査業務に関与した経験を基礎に、措置をする側とされる側の双方から実務を整理しています。

事務所 リーリエ行政書士事務所
取扱分野 SNSアカウントの凍結・乗っ取りからの復旧、SNSアカウント運用サポート
公開 2026年10月27日