子どもの写真でインスタ・スレッズが停止されるのはなぜか Metaのルールと異議申し立ての考え方

子どもとの日常を載せていたInstagramのアカウントが、ある朝突然使えなくなっている。通知には「児童の性的搾取」という見覚えのない言葉が並び、同じアカウントでつながっていたThreadsも開けない。家族系YouTuberの収益化停止が相次いで報じられるなかで、InstagramとThreadsでも、子どもが写るアカウントをめぐる停止が起きています。弊所に寄せられるInstagram・Threadsの停止のご相談でも、家族や子どもに関わるアカウントは決して少なくありません。

YouTubeでは動画を公開したまま広告収入だけが止まる形が多いのに対し、Metaのサービスで子どもに関わる違反と判定されると、止まるのは収益ではなくアカウントそのものです。公園で遊ぶ姿や入浴前後の一枚など、親としては成長の記録のつもりで載せたものが、判定の対象になることがあります。

リーリエ行政書士事務所は、SNSアカウントの凍結解除・乗っ取りからの復旧を専門としています。この記事では、Metaが公表しているルールと2025年以降の措置を手がかりに、子どもが写るアカウントがなぜ止められるのか、止められたときにどう考えるかを整理し、子どもの肖像をめぐる法的な論点と対立する考え方にも触れます。

Metaのコミュニティ規定や画面の文言は、改定やアプリの更新によって変わることがあります。この記事の説明は執筆時点の公表資料にもとづくものです。最新の内容は、Metaの透明性センターやヘルプセンターもあわせてご確認ください。

この記事で確認すること

1 YouTubeは「収益」、Instagram・Threadsは「アカウント」が止まる
2 Metaのルールの骨格
3 2025年7月以降の「子どもが主に写るアカウント」への措置
4 家族系アカウントが止まる典型パターン
5 Threadsにも停止が及ぶ
6 停止されたときの考え方
7 法制度の動き
8 法的な論点と対立する考え方
9 家族の発信を続けるなら見直したいこと
10 リーリエの考察
11 よくある質問

1 YouTubeは「収益」、Instagram・Threadsは「アカウント」が止まる

家族系YouTuberの収益化停止は、子どもを出演させて稼ぐことへの評価です。これに対してMetaのサービスでは、子どもに関わる違反は最も重い区分に置かれ、1回の判定でアカウントそのものが停止されることがあります。

停止の通知に「児童の性的搾取」という文言が出ることも、家族で発信している方にとっては大きな衝撃です。この言葉は投稿者の人格を評価したものではなく、画像がどの規定の区分で判定されたかを示すものです。まずはこの区分の仕組みを知ることが、落ち着いて対処するための出発点になります。

2 Metaのルールの骨格

家族系アカウントに関わるMetaのルールは、次の三つに整理できます。

項目 公表されている内容
年齢と管理者の表示 利用は13歳以上が条件。13歳未満の子どもを紹介するアカウントは、プロフィールに大人が管理している旨を明記すれば大人が運営できる。子ども本人が運営していると判断されると削除される
子どものヌード 親が善意で投稿したものでも、第三者による悪用や転用を防ぐため、通常は削除される。明らかな搾取が見つかった場合は、米国の全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)に通告するとされている
停止の重さ 多くの違反は警告と制限を重ねたうえで停止に至るが、児童の性的搾取に関するコンテンツは1回の違反でも停止の対象になる

とくに二つ目は、投稿した親の意図にかかわらず、画像そのもので判断されることを示しています。家族系アカウントの停止を考えるうえで、最も大切な前提です。

3 2025年7月以降の「子どもが主に写るアカウント」への措置

Metaは2025年7月、大人が運営し子どもが主に写るアカウントに、10代向けアカウントと同じ水準の保護を広げると発表しました。対象には、子どもの写真や動画を日常的に投稿する親のアカウントや、子どもの代理として親やマネージャーが運営するアカウントが含まれます。

具体的には、メッセージ設定が最も厳しい状態に自動で切り替わり、不快なコメントを隠す機能が有効になります。あわせて、10代の利用者からブロックされたことのある大人など、疑わしいアカウントにこうしたアカウントがおすすめ表示されにくくなり、検索でも見つかりにくくなります。対象のアカウントには、フィードの上部に設定変更の通知が表示されます。

同じ発表でMetaは、13歳未満の子どもが写る大人管理アカウントに性的なコメントや画像の要求をしていたとして、約13万5千件のInstagramアカウントを削除し、関連するInstagramとFacebookのアカウント約50万件も削除したと公表しています。

この措置そのものは家族系アカウントを守る方向のものです。ただ、子どもの写るアカウントを個別に識別し、周辺の動きを集中的に見る仕組みができたことで、家族系アカウント自体の投稿も以前より厳しく見られるようになったと私たちは受け止めています。

4 家族系アカウントが止まる典型パターン

家族系アカウントの停止は、投稿した親に悪意がなくても、画像そのものと周辺の動きから機械的に判定されることで起きます。ご相談の中で繰り返し見られるのは、次のような形です。

パターン 判定されやすい理由
入浴、水遊び、着替え、おむつ替えの写真や動画 規定上、子どものヌードは善意の投稿でも通常削除される
水着や下着姿が写る海・プール・寝起きの場面 ヌードに近い画像として自動判定に掛かりやすい
見知らぬ大人のフォロワー、保存、コメントが特定の投稿に集中している 子どもが写る投稿の周辺の動きが監視の対象になっている
プロフィールに大人が管理している旨の記載がない 13歳未満の子ども本人が運営していると判断されうる
子どもが自分で操作している様子が投稿やストーリーズに出る 同上
誕生日の入力ミスなどで利用者本人が13歳未満と判定される 年齢要件の違反として扱われる

*実際の停止理由は通知に示される区分から推測するほかなく、どの投稿が問題とされたのかが示されないことも少なくありません

なかでも重いのが一つ目と二つ目です。「児童の性的搾取」の区分で判定されると、1回で停止の対象になり、同じ利用者の関連アカウントにも影響が及ぶことがあります。

5 Threadsにも停止が及ぶ

Threadsのプロフィールは、Instagramのアカウントに付属する形で作られます。そのため、Instagram側で停止されるとThreadsも使えなくなります。Threadsでは文章中心に発信していて、子どもの写真はInstagramにしか載せていないという場合でも、影響は避けられません。

逆の方向も考えておく必要があります。Threadsに投稿した子どもの写真が判定の対象になった場合も、その評価は同じInstagramアカウントに結び付きます。家族の話題をThreadsで発信している方は、Instagramとは別の場所だと考えず、一つのアカウントの中の投稿として扱うのが安全です。

*アカウントセンターで複数のアカウントを連携している場合、同じ利用者の別アカウントにも影響が及ぶことがあります

6 停止されたときの考え方

家族系アカウントが停止されたとき、異議申し立てで伝えるべきなのは「悪意はなかった」という気持ちではなく、どの投稿がどういう状況で撮られたものかという事実です。審査で見られるのは画像そのものと規定との関係であり、親の意図は判定の材料になりにくいからです。

停止に気づいたら、次の順番で整理します。

順番 具体的にすること
1 記録を残す 停止の通知画面とメールを、日時と区分の文言が分かる形で保存する
2 該当しうる投稿を洗い出す 停止前の数週間に投稿した子どもの写真や動画から、規定に触れうるものを特定する
3 事実を整理する 該当しうる投稿について、撮影の場面、写っている人物との関係、公開範囲をまとめる
4 登録情報を確かめる プロフィールに大人が管理している旨を記載していたか、利用者本人の年齢が正しく登録されているかを確認する
5 一度で伝わる申し立てにする 異議申し立ての機会は限られているため、整理した事実を踏まえて内容をまとめる

停止中に同じ人物が新しいアカウントを作って発信を再開すると、規定上は措置の回避と扱われるおそれがあります。家族の記録を残したい気持ちは自然ですが、審査の結論が出るまでは控えるのが無難です。

通知の区分が「児童の性的搾取」であったことから、刑事手続への不安を抱く方もいます。不安が強い場合は、早い段階で弁護士にご相談ください。

7 法制度の動き

フランスは子どもの肖像の商業利用と、親による投稿そのものの両方を法律で扱っていますが、日本には親の投稿を直接規律する規定はまだありません。そのため日本の利用者にとっては、プラットフォームの規定と措置が事実上の線引きになっています。

フランス

2020年10月の法律で、オンラインプラットフォーム上で16歳未満の子どもの肖像を商業的に利用する場合の枠組みが設けられました。続く2024年2月19日の法律第2024-120号は、親権の定義に子どもの私生活の保護を加え、子どもの肖像に関する権利は両親が共同で守るものと定めています。両親は子どもの年齢と成熟度に応じて本人を関与させる必要があり、両親の意見が対立した場合や、投稿が子どもの尊厳を深刻に損なう場合に、裁判所が関与できる仕組みも整えられました。

日本

2022年の民法改正で、親が子の人格を尊重し、年齢と発達の程度に配慮する義務が明文化されています(民法821条)。こども基本法も、子どもが自分に関わる事柄について意見を表明する機会と、その意見が尊重されることを基本理念に掲げています(3条)。ただし、どちらも家族の発信を個別に制限する規定ではありません。

テレビに出演する子役は、労働基準法による就労の許可制度の中で守られています。これに対して家族の発信は雇用関係がないため、こうした枠組みの外に置かれています。この違いが、家族系の発信をめぐる議論の出発点になっています。

8 法的な論点と対立する考え方

家族の発信をめぐる法的な論点は、どれも子どもの保護と家庭の自由のどちらに重心を置くかで結論が分かれ、日本ではまだ定まった答えがありません。主な論点と、それぞれの立場の考え方を並べます。

論点1 親が子どもの肖像を公開できるか

制限を重視肖像権は子ども本人の人格権であり、親の判断で処分できる範囲には限りがあります。収益が絡むと、親と子の利益がぶつかります。

慎重な立場未成年の間は親が子に代わって判断するのが原則で、家族の記録の公開まで一律に制限するのは家庭への介入が過ぎます。

論点2 本人の意に反する公開は心理的虐待にあたるか

制限を重視児童虐待防止法の心理的虐待は「著しい心理的外傷を与える言動」を含み、成長した子が強い苦痛を感じる公開は該当しえます。

慎重な立場虐待は重大な権利侵害を前提とした概念で、通常の家族の発信にまで当てはめると、福祉が介入する線引きが曖昧になります。

論点3 家族の発信を「労働」として規制すべきか

制限を重視収益を生む出演は実質的な就労であり、子役と同じように時間や収益の管理を法で定めるべきです。フランスの2020年の法律はこの発想に立っています。

慎重な立場雇用関係のない家庭内の活動に労働法の考え方を持ち込むのは難しく、どこからが仕事かの線も引きにくくなります。

論点4 プラットフォームの一律の停止は妥当か

制限を重視被害は公開した時点で生じ、後から救済しても遅いため、事前の一律の制限が子どもの保護として合理的です。

慎重な立場表現の自由や正当な発信まで止めることになり、理由が示されない自動判定では、誤った停止を争う手段も乏しくなります。

論点5 成長した子どもは削除を求められるか

制限を重視本人の人格権にもとづき、親や運営に削除を求められるべきです。フランスは、未成年者の求めによる削除の仕組みを設けています。

慎重な立場親子間で請求を争うのは現実には難しく、すでに拡散した画像は、削除しても取り戻せません。

*それぞれの立場で示されている考え方を整理したもので、特定の結論を支持するものではありません。個別の事案での判断は弁護士にご相談ください

二つの考え方は、子どもを守るという目的では一致しています。分かれているのは、親の判断を信頼する範囲と、法やプラットフォームが家庭の中にどこまで入るべきかという点です。

9 家族の発信を続けるなら見直したいこと

家族の発信を続けるなら、停止を避けるための見直しと、子ども本人の将来を考えた見直しを分けずに行うことが大切です。前者だけを意識すると判定を通る写真を探す発想になりがちですが、後者から考えると、載せる理由のない写真がはっきりしてきます。

1入浴、水遊び、着替え、おむつ替えの場面は、公開アカウントには載せない

213歳未満の子どもが中心のアカウントは、プロフィールに大人が管理している旨を明記する

3見知らぬ大人からのフォロー、保存、コメントが急に増えた投稿は、早めに非公開にするか削除する

4学校や自宅周辺の風景、制服、名札など、居場所が分かる情報を写さない

5子どもが自分の写真の扱いを理解できる年齢になったら、載せてよいかを本人に確かめる

6過去の投稿も同じ基準で見直し、必要に応じてアーカイブや非公開に切り替える

*収益化やPR案件を伴う発信では、子どもの出演が仕事の一部になります。収益の扱いや出演の範囲について、家族の中で取り決めを残しておくことをおすすめします

10 リーリエの考察

弊所がお受けするInstagram・Threadsの停止のご相談では、家族の日常や子どもの成長を発信していたアカウントが、かなりの割合を占めています。子どもの写真を載せることがそれだけ身近な行為であり、規定に触れうるものとして意識されにくいことの表れだと考えています。

家族系アカウントの停止は、親の意図と、画像が第三者にどう見えるかとのずれから生まれます。親にとっては何気ない日常の一枚でも、審査は投稿者を知らない目で行われ、その目は子どもを悪用しようとする側の見え方まで想定しています。停止の通知に強い言葉が並ぶのは、投稿者を責めるためではなく、画像が置かれうる最悪の文脈を基準にしているからだと私たちは考えています。

報道の中心はYouTubeの収益化停止ですが、両者は評価しているものが違います。収益化停止は子どもで稼ぐことへの評価であり、Metaの停止は子どもを載せることそのものへの評価です。「収益化していないから大丈夫」という受け止め方は、InstagramとThreadsでは通用しません。

異議申し立てでは、「家族の記録として載せただけです」という説明だけでは判断を覆す材料になりにくいと見ています。審査する側が知りたいのは、どの画像が、どのような場面で、どの範囲に公開されていたかという事実です。気持ちを伝えることと事実を示すことを分け、後者を軸に組み立てることが復旧への近道になります。

一方で、理由が具体的に示されないまま停止され、どの投稿が問題だったのかも分からない現状には、利用者として納得しにくい面があります。日本には親の投稿を直接扱う法律がないため、海外企業の規定と自動判定が事実上の線引きを担っています。判定の理由をより具体的に示すことは、プラットフォームに求めてよい点だと考えます。

そして、停止は子ども本人の立場から見直す機会でもあります。アカウントが戻ったとしても、すべてを元どおりに公開し直す必要はありません。子どもが成長して自分の写真の扱いを尋ねてきたとき、説明できる投稿だけを残すという基準で選び直すことをおすすめします。

11 よくある質問

Q子どもの写真を載せているだけで、アカウントは停止されるのですか。

Aいいえ。子どもの写真を載せること自体は禁止されていません。ただし、子どものヌードにあたる画像は善意の投稿でも通常削除され、児童の性的搾取の区分で判定されると1回で停止の対象になります。13歳未満の子どもが中心のアカウントでは、大人が管理している旨の明記も必要です。

QThreadsしか使っていませんが、Instagramの停止の影響を受けますか。

A受けます。Threadsのプロフィールは Instagramのアカウントに付属しているため、Instagram側で停止されるとThreadsも使えなくなります。

Q停止中に、新しいアカウントを作って発信を続けてもよいですか。

Aおすすめしません。規定上は措置の回避と扱われるおそれがあり、元のアカウントの審査にも影響しかねません。結論が出るまでは控えるのが無難です。

Q問題になりそうな投稿は、すぐに削除したほうがよいですか。

A削除する前に、投稿の内容と日時、停止の通知を記録として残してください。記録がないと、後からどの投稿が問題とされたのかを整理できなくなります。

Q停止されたアカウントの回復を相談できますか。

Aご相談いただけます。経緯をうかがい、該当しうる投稿と事実関係を整理したうえで、運営への申立ての書面を作成します。お問い合わせの際に、対象のアカウントのユーザー名と、停止の通知に示された区分を添えていただくと、状態の確認をスムーズに進められます。

まとめ

InstagramとThreadsでは、子どもが写る投稿は親の意図ではなく画像そのもので判定され、子どものヌードにあたるものは善意でも削除の対象になります。児童の性的搾取の区分で判定されれば、1回でアカウント全体が止まり、Threadsにも影響が及びます。

停止されたときは、通知を記録し、該当しうる投稿と事実を整理してから、一度で伝わる申し立てにまとめる。この順番が復旧への近道です。そして、子どもの肖像をめぐる法的な議論がまだ定まらない今だからこそ、何を載せるかは、子ども本人が将来どう受け止めるかを基準に選び直す価値があります。

家族系アカウントの停止にお困りの方は、まずは届いた通知と画面の記録を手元にそろえてください。

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執筆・運営について

リーリエ行政書士事務所

SNSアカウントの凍結解除・乗っ取り復旧を専門とする行政書士事務所です(東京都行政書士会所属)。弊所の業務範囲は、事実関係と証拠の整理、申立書面・通知書面・開示請求書面等の作成までです。交渉の代理、発信者情報開示請求、仮処分・訴訟の手続は行っていません。

事務所 リーリエ行政書士事務所
取扱分野 SNSアカウントの凍結・乗っ取りからの復旧、SNSアカウント運用サポート
公開 2026年11月2日