Xを乗っ取られたら?取り戻す方法と2026年最新の手口まとめ【2026年冬更新・行政書士監修】
公開2026年11月7日
⚠ 乗っ取りは、放置すると取り返しがつかなくなります
時間が経つほど、登録情報やプロフィールが書き換えられ、本人であることを示す手がかりが失われていきます。乗っ取られたアカウントからは、友人やフォロワーへの詐欺のメッセージも送られ続けます。「様子を見よう」と思わず、早めにご相談ください。
なぜ急ぐ必要があるのかは「SNS凍結・乗っ取りはいつまでに動くべきか?」で整理しています
ある日突然ログインできなくなり、自分のアカウントから知らない投稿やDMが送られている。アカウントの乗っ取りは、多くの場合こうして気づきます。そして相談に来られる方の多くが、「まさか自分が」と口にされます。
乗っ取りは、特別な人だけが狙われるものではありません。国の統計では、不正アクセスの認知件数は令和7年に前年から3割以上増えました。2026年の秋に入ってからは、不正なアプリを入れさせる手口や、企業から相次いで漏れた情報が悪用されるおそれが公的機関から指摘され、11月にはIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が個人向けの相談窓口を強化するに至っています。
この記事では、乗っ取りとは何かを確かめたうえで、2026年秋から現在(11月はじめ)までの情勢と、乗っ取りがなぜこれほど多いのかを公的資料から整理します。予防と乗っ取られた後の動き方、そして取り戻す場面で必ず問題になる「運営会社にアカウントの返還を求められるのか」という論点にも触れます。
この記事には、私たちが2026年の実務と研究で得てきたことをまとめました。少し長い記事ですが、乗っ取りを防ぐときにも、乗っ取られてしまったときにも参考になると思います。ぜひ最後までお読みください。
乗っ取りが疑われるときに、まず確かめること
1友人から「届いた認証コードを教えて」と頼まれても、送らない
2登録メールアドレスの受信箱で、「メールアドレスが変更されました」という通知を探す
3画面や通知メールは消さず、気づいた日時をメモしておく
変更通知のメールには、取消用のリンクが付いていることがあります。乗っ取りは、気づいてからの数時間がいちばん取り戻しやすい時間帯です。
この記事で確認すること
1 アカウントの乗っ取りとは
2 2026年秋から現在までの情勢
3 乗っ取りはなぜこれほど多いのか
4 乗っ取りで、どんな不利益があるのか
5 乗っ取られたうえに凍結されたとき
6 立場と時間で変わる乗っ取りの見え方
7 審査する側に見えているもの
8 二段階認証が万能とは限らないわけ
9 対策(予防と、乗っ取られた後)
10 論点 運営会社にアカウントの返還を求められるか
11 私たちの実績
12 ご相談の事例
13 よくある質問
14 参照した公的資料
1 アカウントの乗っ取りとは
アカウントの乗っ取りとは、本人以外の人がログインに必要な情報(ID、パスワード、認証コードなど)を手に入れてアカウントに入り込み、本人を締め出したうえで使い続けることをいいます。
法律上は、他人のIDやパスワードなどの「識別符号」を無断で入力してサービスを利用する行為として、不正アクセス禁止法が禁じる不正アクセス行為にあたります。国の統計では、令和7年に検挙された不正アクセス行為407件のうち、399件がこの「他人のログイン情報を使う」型でした。システムの弱点を突く攻撃よりも、ログイン情報そのものを手に入れるほうが、圧倒的に多いということです。
ご相談では、乗っ取りと「凍結」「なりすまし」が混同されていることがよくあります。原因も、取るべき行動も違うので、最初に区別しておきます。
図1 乗っ取り・凍結・なりすましの違い
乗っ取り
第三者が本人のアカウントに入り込み、本人を締め出している
動かしている人 第三者
求めること 本人であることの確認と復旧
凍結
運営会社が、規約違反などを理由にアカウントを止めている
動かしている人 誰も動かせない
求めること 判定の見直し
なりすまし
本人のアカウントとは別に、本人を名乗る偽のアカウントが作られている
動かしている人 本人は自分のアカウントを使える
求めること 偽アカウントの報告
*乗っ取られたアカウントがスパムの送信などで凍結され、二つが重なることもあります
とくに注意したいのが、乗っ取りと凍結が重なるケースです。乗っ取ったアカウントから詐欺のDMが大量に送られると、運営会社はそのアカウントを規約違反として止めることがあります。こうなると本人は、「乗っ取られた」ことと「違反したのは自分ではない」ことの両方を説明しなければならず、手間が一段増えます。この場合の考え方は、5で詳しく取り上げます。
2 2026年秋から現在までの情勢
乗っ取りがどのくらい起きているのかを、国とIPAが公表している資料から見ていきます。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)とは
経済産業省が所管する独立行政法人で、日本の情報セキュリティ対策の中心的な役割を担う公的機関です。ウイルスや不正アクセスの手口の調査、注意喚起、毎年の「情報セキュリティ10大脅威」の公表などを行っています。個人向けには「情報セキュリティ安心相談窓口」を設けて、電話やメールで相談を受け付け、寄せられた相談の件数や事例を四半期ごとに公表しています。この記事で紹介する相談件数は、この窓口の公表資料によるものです。
図2 2026年11月はじめの時点で公表されている主な数字
不正アクセスの認知件数(令和7年)
7,190件
前年から約34.2%増
IPAへの不正ログインの相談(2026年7〜9月)
395件
相談全体の11.7%
知人になりすましての情報発信(令和7年)
114件
不正アクセス後に行われた行為
*認知件数は、警察が届出や捜査などで確認した不正アクセス行為の数です。被害の総数ではありません
認知件数は、ここ数年で大きく増えています。令和5年に一度大きく跳ね上がり、令和6年にいったん減ったあと、令和7年に過去5年で最も多くなりました。
図3 不正アクセス行為の認知件数の推移
*国家公安委員会・総務大臣・経済産業大臣「不正アクセス行為の発生状況」(令和6年・7年・8年の各3月公表)をもとに作成
認知件数の多くはインターネットバンキングや証券口座での不正取引ですが、SNSにかかわるものも確かに含まれています。令和7年には、不正アクセスのあとに「知人になりすましての情報発信」が行われたものが114件、「コミュニティサイトの不正操作」が72件ありました。また、他人のログイン情報を使って検挙された399件を、不正に使われたサービスで分けると、コミュニティサイトが92件で、社員・会員用の専用サイト(122件)に次いで2番目に多くなっています。
夏から11月はじめまでの動き
統計は1年遅れで出てくるため、いま何が起きているかは、公的機関の注意喚起と相談状況から読み取ることになります。夏から現在までの主な動きを、時系列で並べたのが図4です。
図4 乗っ取りをめぐる公的機関の動き(2026年7月〜11月)
乗っ取りの手口漏えい相談窓口
IPA 4〜6月の相談事例として、InstagramやFacebookで知人から届いた「投票」のDMに応じた結果、LINEを乗っ取られ、知人に金銭を求めるメッセージを送られた例を紹介
警察庁 「SNSやメールの乗っ取り・なりすましに注意!!」を発行。乗っ取られたSNSから友人あてにメッセージが送られる例や、電子マネーを買わせて番号を聞き出す例を示し、乗っ取られたときは交流相手への注意喚起や、登録情報・認証方法が変えられていないかの確認を呼びかけ
IPA Androidのスマートフォンに不正なアプリを入れさせようとするフィッシングメールを確認(10月23日公表の資料で言及)
個人情報保護委員会・警察庁・国家サイバー統括室・総務省・経済産業省・金融庁・IPAなど 幅広い分野の事業者や団体で不正アクセスによる個人情報の漏えいが相次いだことを受け、相次いで注意喚起
IPA 企業・組織向けの「不正アクセス特別相談窓口」を開設
IPA 7〜9月の相談状況を公表。不正ログインの相談は395件で、FacebookやInstagramに不正ログインされ、自分ではログインできなくなったという相談が多く、増加傾向にあるとした
IPA 「自分の個人情報等が漏えいした際の『対処』と『日頃の対策』」を公開。IDやパスワードが漏れると、SNSでの身に覚えのない投稿などの被害が起こり得るとして、使い回していたほかのサービスのパスワードも変えるよう案内
IPA 相次ぐ漏えいを受けて「情報セキュリティ安心相談窓口」を強化し、自分の情報が漏えいして不安に感じている個人からの相談を受け付けると発表
*各機関の公表資料をもとに作成。日付は公表日です(警察庁の資料は月のみの表記)
並べてみると、この数か月で乗っ取りの「入口」が広がってきたことがわかります。夏までは、知人を装ったDMで認証コードを聞き出すといった、SNSの中で完結する手口が中心でした。それが秋には、スマートフォンに不正なアプリを入れさせる手口が加わり、10月以降は、企業から漏れたIDやパスワードが別のサービスへの不正ログインに使われるおそれが、公的機関から繰り返し指摘されるようになっています。
図5 この秋に広がった乗っ取りの入口
知人を装ったDMで、認証コードを聞き出す
不正なアプリを入れさせ、端末から情報を抜く
企業から漏れたIDやパスワードが、ほかのサービスで試される
*前の手口がなくなったわけではなく、入口が増えているという意味です。整理は公的機関の注意喚起をもとにした私たちの見方です
この秋の情勢から読み取れること
一つは、乗っ取りがプラットフォームをまたぐようになっていることです。IPAが夏に紹介した事例では、InstagramやFacebookのDMが入口になり、乗っ取られたのはLINEでした。SNSごとに別々に守っていても、どこか一つの入口から破られれば、ほかのアカウントにも被害が広がります。
もう一つは、本人に落ち度がなくても入口ができてしまうことです。企業からの漏えいは、利用者には防ぎようがありません。だからこそ、漏れたときに被害を一つのサービスで止められるよう、パスワードを使い回さないことの意味がこれまで以上に大きくなっています。
この秋に私たちが受けたご相談では、SMSを使ったフィッシングや、本物そっくりのダミーサイトでIDとパスワードを抜き取られたケースが多くみられました。そして筆者の経験として怖いと感じるのは、それがフィッシングだったと気づいていない方さえ少なくないことです。「普通にログインしただけなのに、なぜか乗っ取られた」と話される方の中には、そのログイン画面自体が偽物だった、という例が珍しくありません。
3 乗っ取りはなぜこれほど多いのか
では、なぜ乗っ取りはこれほど多いのでしょうか。公的資料と、私たちがご相談で見てきたことを合わせると、理由は一つではありません。いくつかの要因が重なって、乗っ取る側にとって「手間が少なく、得るものが大きい」状態になっていると私たちは考えています。
いちばん大きいのは、一つの乗っ取りが次の乗っ取りを生む、連鎖の構造です。
図6 乗っ取りが連鎖する仕組み
認証コードを伝えてしまう、偽のログイン画面に入力するなど
↓
「投票してほしい」「間違えてコードを送ったので教えて」など
↓
送り主が本物のAさんのアカウントなので、疑いにくい
↓
1に戻り、知人のつながりに沿って広がっていく
*鹿児島県警察は、認証コードなどを気づかずに他人に教えたことで乗っ取られるケースが増えていると注意を呼びかけています
この仕組みでは、乗っ取る側は特別な技術を必要としません。必要なのは、もっともらしい文面と、すでに乗っ取ったアカウントだけです。しかも、乗っ取るたびに「信用のある送り主」が増えていきます。令和7年の統計に「知人になりすましての情報発信」が独立した項目として現れているのは、こうした手口が目立つ規模になっていることの表れといえるでしょう。
連鎖のほかにも、乗っ取りを多くしている要因があります。
図7 乗っ取りを多くしている五つの要因
1 技術がいらない
認証コードを本人に入力させたり、聞き出したりすれば足りる。システムの弱点を突く必要がない
2 信用がそのまま使える
乗っ取ったアカウントは、持ち主と友人の信頼関係ごと手に入る。詐欺の入口として価値が高い
3 漏れた情報が出回る
他のサービスから漏れたメールアドレスやパスワードが、使い回しを狙った不正ログインに使われる
4 守りに合わせて手口が変わる
二段階認証が広まると、コードそのものを入力させる手口や、不正なアプリを入れさせる手口に移っていく
5 取り戻しにくい
登録情報を先に書き換えれば、本人は復旧の連絡を受け取れない。乗っ取る側にとって「割に合う」状態が続く
*1〜4は公的資料にみられる手口や情勢から、5は私たちのご相談での経験から整理したものです
二つ目の「信用」については、警察庁も、SNS型の投資詐欺やロマンス詐欺など、SNSの匿名性を悪用した犯罪が多発していると指摘しています。乗っ取ったアカウントは、匿名の新しいアカウントよりも信用されやすいため、こうした詐欺の入口として狙われると考えられます。四つ目の「手口の移り変わり」は、2026年9月からIPAが確認している、不正アプリを入れさせるフィッシングメールにも表れています。
統計と、ご相談の現場
検挙された事件の手口を見ると、ここ1年で変化があります。令和6年に最も多かったのは「パスワードの設定・管理の甘さにつけ込んだもの」で、「フィッシングサイトによるもの」はその4分の1にも届きませんでした。それが令和7年には、両者がほぼ並んでいます(図8)。
私たちのご相談でも、SMSを使ったフィッシングやダミーサイトでIDとパスワードを取られたケースが多く、統計の変化は現場の実感とも重なります。それでも、検挙の数字は被害の実態よりかなり小さいと考えられます。検挙に至りやすい類型とそうでない類型があるためだと考えられます。検挙に至りやすい類型とそうでない類型があり、身近な人による乗っ取りは相手を特定しやすい一方、海外から組織的に行われるフィッシングやコードの聞き出しは、被害が多くても検挙にはつながりにくいからです。
図8 他人のログイン情報を使った事件の手口(検挙件数)
パスワードの設定・管理の甘さにつけ込んだもの
フィッシングサイトにより入手したもの
*他人のログイン情報を使った事件の検挙件数は、令和6年が511件、令和7年が399件です。検挙の件数であり、被害の件数ではありません
手口ごとの見分け方や調べ方は、「X・Instagramの乗っ取り、原因はフィッシングだけじゃない!」で詳しく整理しています。
4 乗っ取りで、どんな不利益があるのか
乗っ取りの被害は、「アカウントが使えなくなる」だけでは済みません。失うものは自分のアカウントの外にまで広がり、しかも放っておくほど大きくなっていきます。
図9 乗っ取りで生じる主な不利益
1 積み上げたものを失う
投稿、写真、フォロワー、DMのやり取りなど、何年もかけて積み上げたものに手が届かなくなる
2 友人やフォロワーが被害に遭う
自分のアカウントから、投票の依頼や電子マネーを求めるメッセージが送られ、知人がだまされる
3 評判が傷つく
身に覚えのない投稿や、不適切なDMが自分の名前で発信される
4 お金を失う
連携した決済の不正利用、同じパスワードを使っていたほかのサービスへの不正ログイン、「返してほしければ払え」という金銭の要求
5 凍結され、さらに戻しにくくなる
乗っ取った側の違反行為でアカウントが凍結され、取り戻すための手続が二重になる(5で取り上げます)
6 仕事の信用が損なわれる
職種によっては、アカウントが戻っても、失った信用は戻らないことがある
*2は警察庁、3はIPA、4の金銭の要求は福岡県警察の注意喚起でも取り上げられています
とくに重いのは、6の信用です。職種によっては、信用そのものが成り立たなくなることもあります。たとえば、顧客とDMでやり取りしている事業者や、守秘を求められる仕事をしている人のアカウントから詐欺のメッセージが送られれば、「この人に連絡して大丈夫なのか」という疑いは、アカウントを取り戻したあとも残ります。お店や会社の公式アカウント、多くのフォロワーを抱える発信者のアカウントでも同じです。
そして、これらの不利益は時間とともに広がります。乗っ取られている間も、アカウントからは知人へのメッセージが送られ続け、登録情報やプロフィールは書き換えられていきます。冒頭で「放置すると取り返しがつかない」とお伝えしたのは、このためです。
5 乗っ取られたうえに凍結されたとき
ご相談でとくに手間がかかるのが、乗っ取られたうえに、アカウントが凍結されてしまったケースです。乗っ取った側がアカウントからスパムや詐欺のメッセージを大量に送ると、運営会社はそれを規約違反と判定し、アカウントを止めることがあります。本人にとっては、奪われたうえに、自分がしていない違反の責任まで負わされた形になります。
図10 乗っ取りから凍結に至る流れ
フィッシングや認証コードの聞き出しなどで、第三者がログインし、登録情報を書き換える
↓
知人への詐欺DM、スパムの投稿、不審なリンクの拡散など
↓
運営会社から見えるのは「このアカウントが違反をした」という事実で、誰が操作していたかではない
↓
自分が元の持ち主であること、そして違反は自分の行為ではないこと
*不審なログインを検知した運営会社が、安全のために一時的にロックする場合もあります。違反を理由とする凍結とは扱いが異なります
ここで大事なのは、二つの手続を混ぜずに、それぞれに必要な材料をそろえることです。
| 示すこと | 中身 | 材料になるもの |
|---|---|---|
| 自分が元の持ち主であること | 取り戻すための本人確認 | 乗っ取り前の登録メールアドレスや電話番号、変更通知メール、アカウントを作った時期 |
| 違反は自分の行為ではないこと | 凍結の解除を求める申立て | 乗っ取りに気づいた日時、問題とされた投稿やDMの日時、乗っ取り前の普段の使い方 |
*二つは同じ書面にまとめることもありますが、何をどの材料で示すのかは分けて考えます
判断の分かれ目
審査する側から見ると、「乗っ取られた」という説明は、違反をしたアカウントの言い訳として使われることもあります。そのため、乗っ取られたと書くだけでは足りません。分かれ目になるのは、乗っ取られた時点と、違反とされた行為の時点の前後関係を示せるかです。乗っ取りに気づいた日時、変更通知メールの日時、問題とされた投稿の日時を一本の時系列に並べ、違反が乗っ取りのあとに起きたことを示せれば、説明に筋が通ります。
また、凍結されたままのアカウントは、場合によって投稿などの内容が削除されることもあり得ます。私たちは凍結から3か月をひとつの目安として、それまでに申立ての準備を整えるようおすすめしています。乗っ取りによる凍結の申立ての文面は「Xアカウント凍結の異議申し立て例文集」、永久凍結の通知を受けたときの全体像は「X(Twitter)永久凍結の解除完全ガイド」でも整理しています。
6 立場と時間で変わる乗っ取りの見え方
同じ乗っ取りでも、発生からどれだけ時間が経っているかで、できることが変わります。
図11 乗っ取りからの時間と、本人にできること
パスワード、メールアドレス、電話番号が順に書き換えられていく
登録情報がすべて乗っ取った側のものになり、悪用が始まる。凍結されることもある
名前やプロフィールが書き換えられ、元のアカウントだとわかる手がかりが減っていく
*時間の区切りは目安です。時間の考え方は「SNS凍結・乗っ取りはいつまでに動くべきか?」でも整理しています
また、誰の立場から見るかによっても、乗っ取りの見え方は違います。
本人
自分のものを奪われた。明らかに自分のアカウントなのに、なぜすぐ戻らないのか
DMを受け取った友人
信頼している人から頼みごとをされた。乗っ取りだとは気づきにくい
運営会社
登録情報を変えたアカウントと、それは自分のものだと訴える人がいる。どちらが本当の持ち主か、すぐにはわからない
取り戻す場面で行き違いが起きるのは、この見え方の違いが原因であることが多いです。本人にとっては当然のことでも、運営会社はそれを前提にしてくれません。
7 審査する側に見えているもの
私たちは、事業会社の側で、アカウントの利用停止などについての書面を受けて対応方針を検討する仕事にも携わってきました。その経験から言えるのは、審査する側が最初に確かめたいのは「この申し出をしているのは、本当に元の持ち主か」の一点だということです。乗っ取った側が「自分が本人だ」と申し出てくることもあるからです。
図12 運営会社が申し出を受けてから判断するまで
「自分のアカウントです」
手元の記録と材料を突き合わせる
復旧に進みやすい
*運営会社は審査の手順を公表していないため、図は私たちの経験をもとに整理したものです
| 本人確認の材料になりやすいもの | 材料になりにくいもの |
|---|---|
| 乗っ取り前に登録していたメールアドレスと電話番号 | 「間違いなく自分のものです」という主張だけ |
| 運営会社から届いた変更通知メール(日時が残っているもの) | 同じ内容を何度も送る申請 |
| アカウントを作った時期と、そのときの端末 | 経緯の日付があいまいな説明 |
| 乗っ取り前の投稿内容やプロフィールの記録 | 友人による「本人です」という証言だけ |
リーリエ行政書士事務所の視点
審査する側の目で見ると、乗っ取りの申し出は「本人であることの立証」の問題です。何が起きたかを日付順に並べ、その一つひとつに裏づけを付ける。これができているかどうかで、同じ被害でも結果が分かれます。強い言葉や切実な事情は、それだけでは判断の材料になりません。
8 二段階認証が万能とは限らないわけ
二段階認証は、乗っ取りを防ぐうえで最も効果のある対策の一つです。パスワードが漏れても、それだけではログインされなくなるからです。ただし、二段階認証を設定していれば絶対に安全、というわけではありません。「二段階認証をしていたのに乗っ取られた」というご相談は、実際にあります。
二段階認証は「ログインするときに、本人しか持っていないものでもう一度確かめる」仕組みです。裏を返せば、その確認をすり抜ける方法があれば、効果は薄れます。主なすり抜け方は次のとおりです。
図13 二段階認証がすり抜けられる主なパターン
1 コードを本人が渡してしまう
知人を装ったDMや、運営会社を名乗る連絡で頼まれ、届いたコードを伝えてしまう
2 偽サイトでその場で中継される
偽のログイン画面に入力したID、パスワード、コードを、相手がその場で本物のサイトに入力する。コードの有効時間内なら通ってしまう
3 スマホそのものを操られる
不正なアプリを入れてしまうと、届いたSMSを読まれたり、端末を遠隔操作されたりするおそれがある
4 ログイン済みの状態を使われる
二段階認証が働くのはログインの時点。すでにログインした状態や、連携したアプリの権限を奪われると関係がない
5 乗っ取った側が設定し直す
乗っ取った側が自分の端末で二段階認証を設定すると、本人はかえってログインしにくくなる
*IPAも、パスワードや認証コードを安易に入力しないことや、提供元のわからないアプリを入れないことを呼びかけています
認証の方法によっても、防げるものと防ぎきれないものが違います。
| 認証の方法 | 防ぎやすいもの | 防ぎきれないもの |
|---|---|---|
| SMSで届くコード | パスワードだけを使った不正ログイン | コードの聞き出し、偽サイトでの中継、電話番号そのものを悪用された場合 |
| 認証アプリのコード | 上に加えて、SMSが読まれる・転送されるリスク | コードの聞き出し、偽サイトでの中継 |
| パスキー | 偽サイトでの入力(登録した本物のサイトでしか使えない仕組み) | 端末そのものを操られた場合、ログイン済みの状態の悪用 |
*どの方法でも、設定していないよりはるかに安全です。表は「何を組み合わせて補うか」を考えるためのものです
この秋のご相談でも、SMSのフィッシングからダミーサイトに誘導され、IDとパスワードを入力してしまったケースが多くみられました。二段階認証は、「設定したら終わり」ではなく、「コードやパスワードを、頼まれても、促されても入力しない」こととセットで初めて働くものです。選べるならパスキーや認証アプリを使い、ログインはメールやSMSのリンクからではなく、公式アプリやブックマークから行う。これが、すり抜けを減らすいちばん確実な方法です。
9 対策(予防と、乗っ取られた後)
取り戻すことも、被害を埋め合わせることも、簡単ではありません
乗っ取られてから取り戻すのは、防ぐよりずっと大変です。運営会社への申し入れには、本人であることを示す材料の集め方や書面のまとめ方に専門的な知識が要り、やり取りが長引くこともあります。被害の埋め合わせを求めるとなれば、相手の特定や法的な手続が絡み、弁護士への依頼を含めて、それなりの労力と費用がかかります。
そして、職種によっては、その間に失った信用がアカウントを取り戻しても戻らず、仕事そのものに響くことがあります。予防にかける手間は、こうしたコストに比べればずっと小さいものです。
3で見た要因の一つひとつに、対応する予防策があります。
図14 乗っ取りの要因と、対応する予防策
*IPAも、パスワードや認証コードを安易に入力しないこと、提供元不明のアプリをインストールしないことを呼びかけています
乗っ取られたと気づいたときは、次の順番で動いてください。
1登録メールアドレスの受信箱で、運営会社からの変更通知を探す。取消用のリンクがあればすぐに使う
2ログインできる状態なら、パスワードを変え、ほかの端末をすべてログアウトさせ、二段階認証を設定し直す
3同じパスワードを使っているほかのサービスも、すぐに変更する
4画面、通知メール、不審なDMのスクリーンショットを残し、気づいた日時を記録する
5別のSNSや連絡手段で、友人に「自分のアカウントからのDMに反応しないで」と知らせる
6運営会社の復旧窓口から申請する。金銭の被害がある場合や悪用が続く場合は、警察の相談窓口にも相談する
公的な相談先としては、IPAの「情報セキュリティ安心相談窓口」が電話とメールで相談を受け付けています。ただし、IPAはほかの組織への連絡の仲介や個別の調査は行っていないため、アカウントの復旧そのものは、運営会社とのやり取りで進めることになります。登録メールアドレスの確かめ方は「Xのメールアドレスを変更する方法」で整理しています。
自分では取り戻せなかった方へ
乗っ取りに気づいた時期、届いた通知メール、これまでに送った申請と返信を見せてください。本人であることを示す材料の整理から、申入れの書面づくりまでお手伝いします
10 論点 運営会社にアカウントの返還を求められるか
ISSUE
乗っ取られたアカウントを「返して」と求めることは、法的にどこまで言えるか
乗っ取られたアカウントを取り戻そうとするとき、本人は運営会社に「元に戻してほしい」と求めることになります。それが法的にどこまで言えることなのかについては、考え方が分かれます。
考え方A
契約上の地位から求められる
アカウントは利用規約に基づく利用契約の地位であり、運営会社は契約の相手方である本人にサービスを提供する立場にあります。第三者に奪われたのは本人の落ち度ではないので、本人であることが確認できれば、運営会社は利用できる状態に戻すべきだという考え方です。消費者として使っている場合は、運営会社の責任を広く免除する規約の条項がそのまま有効かどうかも問題になり得ます。
考え方B
運営会社の判断に委ねられる
アカウントは所有物ではなく、運営会社が規約に従って付与している利用権にすぎません。規約には運営会社の裁量が広く定められているうえ、乗っ取った側が本人を装って返還を求めてくることもあります。そのため、本人確認の方法や復旧に応じるかどうかは運営会社が慎重に決めてよく、確実に確かめられない限り応じなくても不当とはいえない、という考え方です。
判断の分かれ目
二つの考え方は正反対に見えますが、同じ一点で交わります。考え方Aも「本人であることが確認できれば」を前提にしており、考え方Bも「確実に確かめられない限り」と言っています。どちらに立っても、結論を左右するのは、本人であることをどこまで客観的に示せるかです。もう一つの分かれ目は、規約で指定されている準拠法と裁判管轄です。海外の運営会社の規約では外国の法律や裁判所が指定されていることがあり、日本の消費者契約法がどこまで及ぶかについて、確定した答えはありません。
私たちの立場
乗っ取りの場面では、「返還を求める権利があるか」を争うより、「運営会社が応じても問題ないと判断できる状態」をつくるほうが結果につながると考えています。運営会社が最も避けたいのは、本人ではない人にアカウントを渡してしまうことです。その心配を取り除く材料がそろえば、規約上の裁量の範囲で応じやすくなる。権利の主張は、材料が整ったうえで初めて意味を持つものです。
11 私たちの実績
リーリエ行政書士事務所は、SNSアカウントの凍結と乗っ取りを専門に扱っています。ここでは、これまでの取り組みと、乗っ取りに関する対応の実績をいくつか紹介します。
図15 数字で見る私たちの取り組み
年間のご相談
3,000件超
SNSの凍結・乗っ取りなど
お問い合わせ
1日20件近く
多い日。ご紹介を含む
対応しているSNS
X・Instagram ほか
Facebook・TikTok・YouTubeなど
*お問い合わせの件数は、ご紹介によるものを含みます
私たちは、事業会社の側で、アカウントの利用停止などについての書面を受けて対応方針を検討する仕事にも携わってきました。申し出をする側と受け止める側、両方の立場を知っていることが、書面づくりの土台になっています。X(旧Twitter)のほか、Instagram、Facebook、TikTok、YouTubeなど、ほかのSNSのご相談もお受けしています。
以下は、乗っ取りに関する対応の実績です。個人が特定されないよう、事実関係の一部を変えています。
実績1 認証コードの聞き出し
知人を装ったDMから乗っ取られたケース
| 対象のSNS | |
|---|---|
| ご相談時の状況 | 知人のアカウントから「コンテストに投票してほしい」とDMが届き、案内に沿って電話番号を伝え、届いた認証コードを送ったところ、ログインできなくなった。登録メールアドレスと電話番号が書き換えられ、ほかの知人にも同じDMが送られていた |
| 乗っ取りからの経過 | 乗っ取りから5日 |
| 私たちが行ったこと | 運営会社から届いた変更通知メール(日時入り)、乗っ取り前の登録情報、アカウントを作った時期、乗っ取り前の投稿の記録を時系列に整理し、元の持ち主であることを示す書面を作成。知人に注意を呼びかける文面も助言 |
| 結果 | アカウントを取り戻し、二段階認証を認証アプリで設定し直した |
| 解決までの期間 | 約3週間 |
ポイント 変更通知メールを消さずに残していたこと。乗っ取り前の登録情報と一致する材料がそろい、本人であることを示しやすかった
実績2 SMSのフィッシング
SMSからダミーサイトに誘導され、IDとパスワードを取られたケース
| 対象のSNS | X |
|---|---|
| ご相談時の状況 | 「不審なログインがありました」というSMSのリンクから、Xそっくりのページでログイン。数時間後にパスワードを変えられ、ログインできなくなった。ご本人はフィッシングだと気づいておらず、「普通にログインしただけ」と話されていた |
| 乗っ取りからの経過 | 乗っ取りから約2週間 |
| 私たちが行ったこと | SMSが届いた時刻、ログインした時刻、パスワード変更の通知の時刻を突き合わせ、偽サイトへの入力が原因だったことを特定。同じパスワードを使っていたほかのサービスの変更も案内したうえで、本人確認の材料をまとめた書面を作成 |
| 結果 | アカウントを取り戻し、ログインは公式アプリから行う運用に切り替えた |
| 解決までの期間 | 約4週間 |
ポイント 原因を特定できたこと。何が起きたのかの説明に筋が通り、同じ被害を繰り返さないための対策も立てられた
実績3 乗っ取りと凍結
乗っ取られたうえに、凍結されたケース
| 対象のSNS | X |
|---|---|
| ご相談時の状況 | 乗っ取られたあと、投資の勧誘のような投稿とDMが大量に送られ、スパムとして凍結された。ご本人が何度も異議申し立てを送っていたが、定型文の返信が続いていた |
| 乗っ取りからの経過 | 乗っ取りから約1か月半 |
| 私たちが行ったこと | 乗っ取りに気づいた日時、変更通知メールの日時、問題とされた投稿の日時を一本の時系列に並べ、違反が乗っ取りのあとに起きたことを示した。乗っ取り前の普段の使い方との違いも示し、本人確認と凍結の解除を一つの書面に整理 |
| 結果 | 凍結が解除され、アカウントを取り戻した |
| 解決までの期間 | 約5週間 |
ポイント 乗っ取りと違反の前後関係を示せたこと。ご本人がそれまでに送っていた申立てと説明が食い違わないよう整理したことも大きかった
実績4 事業用アカウント
仕事で使っていたアカウントが乗っ取られたケース
| 対象のSNS | |
|---|---|
| ご相談時の状況 | 店舗の集客と予約の受付に使っていたアカウントが、偽のログイン画面から乗っ取られた。お客さまに「キャンペーンに当選した」という偽のDMが送られ、店への問い合わせが相次いでいた |
| 乗っ取りからの経過 | 乗っ取りから3日 |
| 私たちが行ったこと | 急ぎの案件として優先して対応。事業に使っているアカウントであること、停止による影響、乗っ取り前の運用の実態を具体的に記載した書面を作成。お客さまへのお知らせの文面も助言 |
| 結果 | アカウントを取り戻し、管理する人の範囲と二段階認証の設定を見直した |
| 解決までの期間 | 約2週間 |
ポイント 早い段階でご相談いただけたこと。予約の受付など、事業として運用していた記録が本人確認の材料として役立った
*結果は個別の事案によるもので、同じ結果をお約束するものではありません
12 ご相談の事例
ご相談でよくある経過を、事例として紹介します。11の実績とは別に、うまくいかなかったケースも含めています。個人が特定されないよう、事実関係の一部を変えています。
事例1
Instagram ママ友からの「投票」のDMで認証コードを伝え、登録メールアドレスを変えられた
対象のSNS:Instagram(家族の写真を載せていた個人のアカウント)/ご相談までの経過:乗っ取りから10日
経緯ママ友のアカウントから「子どもの写真コンテストに投票してほしい」とDMが届き、案内に沿って電話番号を伝え、届いた認証コードを送ったところ、ログインできなくなりました。登録メールアドレスと電話番号は知らないものに変わり、ほかのママ友にも同じDMが送られていました。
残っていた資料以前の登録先だったメールアドレスに届いていた変更通知のメール、DMのやり取りの画面、そしてスマートフォンに残っていた、投稿した写真の元データ(撮影日時が記録されたもの)です。
整理した内容変更通知メールの日時とDMのやり取りから、いつ何が起きたのかを時系列に並べました。あわせて、投稿されている写真の元データを本人が持っていること、撮影日時と投稿の日付が対応していることを示し、元の持ち主であることを裏づける書面にまとめました。
結果アカウントを取り戻すことができました。その後、二段階認証を認証アプリで設定し直し、お子さんの写真が悪用されないよう、公開の範囲も見直されました。
この事例から言えること 投稿した写真の元データのように、本人しか持っていない記録は、本人であることを示す強い材料になります。乗っ取られたと気づいたら、スマートフォンの中の写真や画面も消さずに残してください。
事例2
X 偽の「著作権侵害」の連絡から乗っ取られ、スパムの投稿で凍結された
対象のSNS:X(趣味の発信に使っていたアカウント)/ご相談までの経過:乗っ取りから約3週間
経緯「あなたの投稿に著作権侵害の申立てがありました」という連絡からXそっくりのページに誘導され、ログインしたところ、乗っ取られました。その後、アカウントから投資の勧誘のような投稿が大量に送られ、スパムとして凍結されました。
ご相談の時点ご本人は、異議申し立てをすでに何度も送っていましたが、回ごとに乗っ取りの日付の書き方が違っていました。また、乗っ取りを訴えるために新しいアカウントを作り、そこから運営会社に呼びかけていました。
整理した内容まず、これまでに送った申立ての内容を確かめ、日付の食い違いを、変更通知メールの日時で正しました。そのうえで、偽の連絡が届いた時刻、ログインした時刻、変更通知の時刻、スパムの投稿が始まった時刻を一本の時系列に並べ、違反が乗っ取りのあとに起きたことを示しました。新しいアカウントは凍結を逃れるためのものと受け取られるおそれがあるため使うのをやめていただき、作った理由も書面の中で説明しました。
結果凍結が解除され、アカウントを取り戻すことができました。
この事例から言えること 乗っ取りと凍結が重なったときは、「元の持ち主であること」と「違反は自分の行為ではないこと」の両方を示す必要があります。急いで自分で動いたことが、かえって説明を難しくすることもあります。
事例3
Facebook 長く使っていなかったアカウントが、半年後に乗っ取りに気づいた
対象のSNS:Facebook(数年ほとんど使っていなかったアカウント)/ご相談までの経過:乗っ取りに気づいてから数日、乗っ取り自体は約半年前と推測
経緯友人から「あなたのアカウントから変なメッセージが来る」と言われて、初めて乗っ取りに気づきました。プロフィールの名前や写真は別人のものに変わっており、登録していたメールアドレスは、すでに解約したプロバイダのものでした。
残っていた資料変更通知のメールは解約したアドレスに届いていたため、確認できませんでした。手元にあったのは、昔の投稿を写した数枚の画面と、友人から届いた連絡だけでした。
私たちがお伝えしたこと時間が経っていて、本人であることを示す材料も少ないため、アカウントを取り戻せる見込みは高くないと、最初に率直にお伝えしました。そのうえで、取り戻すことだけにこだわらず、被害を止めることを優先する進め方をご提案しました。
整理した内容と結果残っていた材料で運営会社に申し入れるとともに、友人への周知と、同じパスワードを使っていたほかのサービスの変更を進めていただきました。アカウントそのものは取り戻せませんでしたが、運営会社への報告のあと、乗っ取られたアカウントからの詐欺のメッセージは止まりました。
この事例から言えること 時間が経つほど、取れる手は少なくなります。使っていないアカウントこそ、登録情報を最新にしておくか、整理しておくことが大切です。
13 よくある質問
Q二段階認証を設定していたのに乗っ取られました。なぜですか。
A多いのは、届いた認証コードを偽のログイン画面に入力した場合や、DMで頼まれてコードを伝えてしまった場合です。二段階認証は「コードを本人しか知らない」ことを前提にした仕組みなので、コードが渡ってしまうと効果がなくなります。聞き出されにくい認証アプリやパスキーへの切り替えをおすすめします。詳しくは、8「二段階認証が万能とは限らないわけ」で整理しています。
Q最近、企業からの情報漏えいのニュースが多いですが、自分のSNSにも関係がありますか。
A関係があり得ます。漏れたメールアドレスやパスワードは、別のサービスへの不正ログインに試されることがあるからです。漏えいの通知を受けたサービスと同じパスワードをSNSでも使っている場合は、すぐに変更してください。漏えいを知らせるふりをしたフィッシングメールにも注意が必要です。
Q警察に相談すれば、アカウントは戻りますか。
A乗っ取りは不正アクセス禁止法に違反する行為なので、警察に相談することはできます。ただ、警察の役割は犯罪の捜査で、アカウントを元に戻すのは運営会社です。復旧の申請は、警察への相談とは別に進める必要があります。
Q乗っ取られた自分のアカウントから、友人に詐欺のDMが送られてしまいました。
Aまず別の連絡手段で、友人にDMへ反応しないよう知らせてください。すでに被害が出ている場合は、友人にも警察への相談をすすめてください。あわせて、いつ乗っ取りに気づき、何をしたかを記録しておくと、あとで経緯を説明するときに役立ちます。
Q乗っ取られてから時間が経っています。まだ間に合いますか。
A一概には言えませんが、時間が経つほど本人であることを示す材料は古くなり、アカウントの中身も書き換えられていきます。私たちは、ご相談を受けたらまず乗っ取りに気づいた時期を伺い、そのうえで見込みを率直にお伝えしています。見込みの目安は、無料の自動診断でも確かめられます。
Qパスワードを伝える必要はありますか。
A必要ありません。私たちの業務は、事実関係と証拠の整理と、運営会社へ提出する書面の作成です。アカウントにログインすることはありません。パスワードや認証コードを求めてくる業者には注意してください。
まとめ
アカウントの乗っ取りが多いのは、技術がいらず、乗っ取るたびに信用のある送り主が増え、漏れた情報も出回っていて、そのうえ取り戻しにくいからです。令和7年の不正アクセスの認知件数は7,190件と前年から3割以上増えました。2026年の秋には、知人を装ったDMに加えて、不正なアプリや企業から漏れた情報も乗っ取りの入口になり、11月にはIPAが個人向けの相談窓口を強化しています。
乗っ取りで失うのは、アカウントだけではありません。知人が詐欺に遭い、自分の名前で身に覚えのない発信がされ、乗っ取った側の違反で凍結されることもあります。職種によっては、失った信用がアカウントを取り戻しても戻らないこともあります。
予防の中心は、二段階認証を設定し、そのコードを誰にも渡さないことです。ただし二段階認証は万能ではなく、偽サイトやSMSのフィッシングに入力してしまえば、すり抜けられてしまいます。乗っ取られた後は時間との勝負で、時間が経つほど、運営会社に本人であることを示す材料をそろえて申し入れる必要が出てきます。返還を求める権利についての考え方は分かれていますが、どちらに立っても、結果を左右するのは本人であることをどこまで示せるかです。
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SNSアカウントの乗っ取りのご相談
乗っ取りに気づいた時期と、届いた通知メールや画面のスクリーンショットを添えてご連絡ください。お急ぎの場合は、その旨もお書き添えください
14 参照した公的資料
国家公安委員会・総務大臣・経済産業大臣「不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況」(令和8年3月12日)
情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況[2026年第3四半期(7月~9月)]」(2026年10月23日)
情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況[2026年第2四半期(4月~6月)]」
情報処理推進機構(IPA)「自分の個人情報等が漏えいした際の『対処』と『日頃の対策』」(2026年10月26日)
情報処理推進機構(IPA)「不正アクセスによる個人情報漏えい等の被害にあわれた方の相談受付強化について」(2026年11月2日)
情報処理推進機構(IPA)「不正アクセス対策特設サイト」(不正アクセス特別相談窓口、2026年10月16日開設)
警察庁「SNSやメールの乗っ取り・なりすましに注意!!」(Cyber Police Agency Letter 2026 Vol.13、令和8年9月)
内閣官房 国家サイバー統括室「不正アクセスによる漏えい等の事案を踏まえた各機関の注意喚起」(2026年10月14日)
警察庁「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等」(令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について ほか)
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執筆・運営について
リーリエ行政書士事務所
SNSアカウントの凍結解除・乗っ取り復旧を専門とする行政書士事務所です(東京都行政書士会所属)。
| 事務所 | リーリエ行政書士事務所 |
|---|---|
| 取扱分野 | SNSアカウントの凍結・乗っ取りからの復旧、SNSアカウント運用サポート |
| 公開 | 2026年11月7日 |



