X・Instagramの乗っ取り、原因はフィッシングだけじゃない!手口の特定と予防法【2026年冬更新】
公開2026年6月20日更新2026年11月3日
乗っ取りのご相談で、とても多い言葉があります。「怪しいリンクを踏んだ覚えはないのに、なぜ乗っ取られたのかわからない」というものです。
乗っ取りの原因というと、フィッシング詐欺の話になりがちです。ただ、公表されている統計を見ると、入り口は一つではありません。そして、どこから入られたのかがわからないまま取り戻しても、同じ入り口から、もう一度入られることがあります。
この記事では、乗っ取りの入り口を五つに分け、手元に残った痕跡からどこから入られたのかをさかのぼる方法を整理します。あわせて、原因を突き止めることが、復旧の申立てや再発防止にどう効くのかもお伝えします。
いま乗っ取られている最中の方は、原因を調べる前に、ログインできるうちのパスワード変更、見覚えのない端末のログアウト、知人への注意の呼びかけを先に済ませてください。原因の調査は、そのあとで十分に間に合います。
この記事で確認すること
1 乗っ取りの入り口は一つではない
2 痕跡から入り口をさかのぼる
3 原因がわかると、何が変わるのか
4 申立てに原因を書くと不利になるのか
5 入り口別のふさぎ方
6 よくある質問
7 参照した公的資料
1 乗っ取りの入り口は一つではない
総務省などが2026年3月に公表した資料によると、2025年に警察が把握した不正アクセス行為は7,190件でした。このうち、他人のIDやパスワードを使った不正アクセスで検挙された事件について、IDやパスワードをどう手に入れたのかを見ると、手口はいくつにも分かれています。
フィッシングサイトで入力させたものもあれば、パスワードの設定や管理の甘さにつけ込んだもの、本人から聞き出したりのぞき見たりしたもの、元従業員や知人など、もともとパスワードを知り得る立場の人による犯行もあります。インターネット上に流出していた情報を使ったものもあります。フィッシングだけに目を向けていると、ほかの入り口を見落とします。
SNSの乗っ取りに引き寄せて、入り口を五つに整理したのが図1です。それぞれ、手元に残りやすい痕跡も添えています。
図1 乗っ取りの五つの入り口と、残りやすい痕跡
1 偽のログイン画面
メールやDM、SMSのリンクから偽サイトに誘導され、IDとパスワードを入力してしまう
残りやすい痕跡 「凍結」「認証」などをうたうメッセージ、その直後のログイン通知
2 使い回し・流出
ほかのサービスから流出したIDとパスワードを、そのまま試される
残りやすい痕跡 同じ時期に、別のサービスでも不審なログインがある
3 認証コードの聞き出し
「投票」「確認」などを口実に、SMSで届いた認証コードを伝えさせる
残りやすい痕跡 身に覚えのない認証コードのSMSと、それを送ったやり取り
4 連携アプリ
占い・診断などの外部アプリに投稿の権限を許可し、それを悪用される
残りやすい痕跡 パスワードを変えても、不審な投稿が止まらない
5 身近な人
家族、知人、元従業員など、パスワードを知り得る立場の人がログインする
残りやすい痕跡 見覚えのある地域や端末からのログイン、内輪でしか知らない内容の投稿
*総務省・警察庁・IPAの公表資料をもとに、SNSの乗っ取りに合わせて整理しました。五つ目は、扱いを慎重にすべき入り口として色を分けています
2 痕跡から入り口をさかのぼる
「心当たりがない」という方でも、手元を調べると、入り口を示す痕跡が残っていることは少なくありません。乗っ取りに気づいてから、思い出せる範囲でさかのぼってみてください。
| 気づいたこと | 疑われる入り口 | 確かめる場所 |
|---|---|---|
| 乗っ取りの少し前に、ログインを求めるメッセージに応じた | 偽のログイン画面 | メール・DM・SMSの受信履歴、ブラウザの閲覧履歴 |
| 同じパスワードを使うほかのサービスにも、不審なログインがあった | 使い回し・流出 | ほかのサービスのログイン通知や利用履歴 |
| 知人から頼まれて、届いた数字のコードを送った | 認証コードの聞き出し | SMSの履歴と、コードを送った相手とのやり取り |
| パスワードを変えたのに、投稿が続いている | 連携アプリ | 設定画面の連携アプリ一覧 |
| 身近な人しか知らない話題が投稿された、端末を共有していた | 身近な人 | ログイン中の端末一覧、端末やパスワードの共有状況 |
*当てはまるものが一つとは限りません。複数の入り口が重なっていることもあります
IPAの相談窓口には、FacebookやInstagramなどに不正ログインされ、自分ではログインできなくなったという相談が多く寄せられています。IPAが紹介した事例には、知人を装ったDMの「投票」の依頼に応じて認証コードなどを入力した結果、LINEを乗っ取られたものがあります。この入り口は、本人が「リンクを踏んだ」とも「パスワードを教えた」とも思っていないことが多く、心当たりがないと感じやすいのが特徴です。
ご相談でよくある経過(例)
パスワードを2回変えても、英語の広告投稿が止まらないというご相談。連携アプリの一覧を一緒に確かめたところ、数か月前に試した診断アプリに、投稿の権限が残っていました。連携を外した日から投稿は止まり、申立ての書面にも、この経緯を時系列で記載しました。
さかのぼっても、入り口の見当がつかない方へ
残っている通知やスクリーンショットを、そのまま送ってください。痕跡の整理から、申立ての書面づくりまでお手伝いします
3 原因がわかると、何が変わるのか
原因を突き止めるのは、犯人探しのためだけではありません。原因がわかると、その後の動き方が三つの点で変わります。
一つは、再発を防げることです。入り口をふさがないまま取り戻しても、同じ経路からもう一度入られるおそれがあります。二つ目は、復旧の申立てに具体的な経緯を書けることです。三つ目は、警察や弁護士に相談するときに、どこから被害が始まったのかを説明できることです。
図2 痕跡から復旧までの流れ
痕跡を集める
ログイン通知、受信したメッセージ、SMS、連携アプリ、ログイン中の端末を、日時が写る形で保存する
▼
入り口の見当をつける
図1と表の対応から、どの入り口が疑わしいかを絞る
▼
入り口をふさぐ
パスワード、連携アプリ、認証方法、端末の共有など、疑わしい入り口ごとに手を打つ
▼
申立て・相談に生かす
経緯を時系列にまとめ、プラットフォームへの申立てや、警察・弁護士への相談に使う
*乗っ取られている最中は、この流れより先に、パスワード変更や知人への注意の呼びかけを済ませてください
リーリエ行政書士事務所の視点
私たちは、大手システム会社の法務として、企業の不正アクセス事案の対応にも携わってきました。企業の対応では、侵入経路を特定し、その経路をふさいでから復旧する、という順番を崩しません。経路が残ったまま戻せば、また入られるからです。
個人のSNSでも、考え方は同じです。取り戻すことに気持ちが向くのは当然ですが、どこから入られたのかを確かめる時間は、遠回りに見えて、実は再発を防ぐいちばんの近道だと考えています。
4 申立てに原因を書くと不利になるのか
ISSUE
論点 自分の落ち度になりそうな原因を、正直に書くべきか
偽サイトに入力した、認証コードを送ってしまった。こうした原因を申立てに書くと、自分の不注意を認めることになり、不利になるのではないか。ご相談では、この不安をよくうかがいます。
一つの考え方は、わざわざ不利になりそうなことは書かず、「心当たりがない」とだけ伝えるほうがよい、というものです。もう一つは、わかっている事実は具体的に書いたほうが、本人であることや被害の経緯が伝わりやすい、という考え方です。
私たちは、後者の立場をとっています。事業会社の側で、利用停止についての書面を受けて対応を検討する仕事にも携わってきましたが、受け止める側が知りたいのは、落ち度の有無よりも、いつ、何が起き、本人が何をしたのかです。具体的な経緯は、申立てをしている人が本当にアカウントの持ち主であることを示す材料にもなります。ただし、推測を事実のように書くのは避け、わかっていることと、わからないことを分けて書きます。
入り口が「身近な人」の場合は、とくに慎重さが必要です。他人のIDとパスワードを無断で使ってログインすることは、相手が家族や知人であっても、不正アクセス禁止法の問題になり得ます。ただ、誰がやったのかを確かめないまま相手を問い詰めると、関係がこじれたり、記録を消されたりするおそれもあります。疑いがある段階では、痕跡の保存にとどめ、警察や弁護士への相談を検討してください。
5 入り口別のふさぎ方
入り口の見当がついたら、それに合った手を打ちます。どの入り口であっても共通するのは、パスワードを変え、見覚えのない端末をログアウトさせ、登録情報と認証方法が書き換えられていないかを確かめることです。そのうえで、入り口ごとに次の点を加えます。
| 入り口 | 加えてすること |
|---|---|
| 偽のログイン画面 | メッセージのリンクからはログインせず、公式アプリやブックマークから入る。アドレスのドメイン名が正規のものかを確かめる |
| 使い回し・流出 | 同じパスワードを使っていたサービスを洗い出し、すべて別のものに変える |
| 認証コードの聞き出し | 届いた認証コードは、知人からの頼みでも誰にも伝えない。コードを送った相手のアカウントも乗っ取られている可能性を、別の経路で本人に知らせる |
| 連携アプリ | 使っていないアプリ、覚えのないアプリの連携を外す。パスワードの変更より先に外すと確実 |
| 身近な人 | 端末やパスワードの共有をやめる。問い詰める前に痕跡を保存し、必要に応じて警察や弁護士に相談する |
IPAは、パスワードを長く、複雑に、使い回さないものにしたうえで、多要素認証を設定することをすすめています。多要素認証は、パスワードが漏れてもログインを防げる強い手段です。ただし、認証コードそのものを伝えてしまえば効き目はありません。設定することと、コードを渡さないことを、組み合わせて考えてください。
金銭の被害や脅迫がある場合は、最寄りの警察署、または警察庁の「サイバー事案に関する相談窓口」に相談してください。緊急でないご相談は、警察相談専用電話「#9110」でも受け付けています。
6 よくある質問
Q調べても、原因がまったくわかりません。
A原因が特定できないことは珍しくありません。その場合は、使い回しと連携アプリという、本人が気づきにくい二つの入り口を優先してふさいでください。申立てには「原因はわからない」と正直に書き、そのかわりに、気づいた日時と、その後にとった対応を具体的に記載します。
Q怪しいリンクを開いただけで、乗っ取られますか。
A多くの場合、開いた先の偽サイトでIDやパスワード、認証コードを入力したときに情報が盗まれます。開いただけで入力していなければ、画面を閉じれば足りることが多いです。入力してしまった場合は、公式アプリからすぐにパスワードを変えてください。
Q二段階認証を設定していたのに、乗っ取られました。
A認証コードまで入力させる偽サイトや、コードを聞き出す手口では、二段階認証を設定していても入られることがあります。また、連携アプリ経由の投稿は、ログインを経ずに行われることがあります。図1の三つ目と四つ目の入り口を、あらためて確かめてください。
Q原因が身近な人だとわかりました。どうすればよいですか。
Aまずは痕跡を保存し、端末やパスワードの共有をやめてください。家族や知人であっても、無断でログインすることは不正アクセス禁止法の問題になり得ます。相手と直接やり取りする前に、警察や弁護士への相談を検討してください。事実関係と証拠の整理、書面の作成は、私たちでもお手伝いできます。
Qフォロワーの少ない個人のアカウントでも狙われますか。
A狙われます。乗っ取ったアカウントは、知人へのなりすましや、詐欺の投稿の発信元として使われることがあり、フォロワー数の多さだけで選ばれるわけではありません。
まとめ
乗っ取りの入り口は、フィッシングだけではありません。使い回し、認証コードの聞き出し、連携アプリ、身近な人。どこから入られたのかによって、ふさぎ方も、申立てに書くことも変わります。
「心当たりがない」と感じたときこそ、手元の痕跡をさかのぼってみてください。原因を突き止める時間は、同じ被害を繰り返さないための時間です。
どのくらい急ぐべきかは「SNS凍結・乗っ取りはいつまでに動くべきか?」で、取り戻すか手放すかの考え方は「「Xを乗っ取られたけど放置」は大丈夫?」で整理しています。
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SNSアカウントの乗っ取りのご相談
乗っ取りに気づいた時期と、残っている通知や画面のスクリーンショットを添えてご連絡ください。お急ぎの場合は、その旨もお書き添えください
7 参照した公的資料
総務省「不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況」(令和8年3月12日)
総務省 国民のためのサイバーセキュリティサイト「フィッシング詐欺とは?」
IPA「情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況[2026年第3四半期(7月~9月)]」
IPA「情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況[2026年第2四半期(4月~6月)]」
AUTHOR & SUPERVISION
執筆・運営について
リーリエ行政書士事務所
SNSアカウントの凍結解除・乗っ取り復旧を専門とする行政書士事務所です(東京都行政書士会所属)。
| 事務所 | リーリエ行政書士事務所 |
|---|---|
| 取扱分野 | SNSアカウントの凍結・乗っ取りからの復旧、SNSアカウント運用サポート |
| 公開 | 2026年6月20日 |
| 更新 | 2026年11月3日 |


