ストーカーとは?「怖い」「逃げたい」その感情に、法律でできること

「誰かに見られている気がする」「無言の電話が何度も」「一度断ったのにまた近づいてくる」
――そんな“気味の悪さ”や“得体の知れない不安”が、日常を少しずつ壊していく。

それが、ストーカー被害の怖さです。

この記事では、ストーカー行為とは何か、そして被害に遭ったときに取るべき行動を、法律の視点からわかりやすく解説します。


ストーカーとはどんな行為?

ストーカーとは、特定の相手に対して、本人の意思に反して何度も接触を図るなどの“つきまとい行為”を指します。これは、2000年に施行された「ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)」によって、明確に禁止されています。

法律で禁止されているストーカー行為

以下のような行為が、ストーカー規制法により禁止されています。

  • 自宅や職場などでのつきまといや待ち伏せ

  • 無言電話やLINEなど、連続したメッセージの送信

  • 面会や交際を強要する言動

  • 名誉を傷つけるような発言やSNSへの書き込み

  • 性的な発言、盗撮などのわいせつ行為

  • 危害を加えると示唆する言動や脅し

これらの行為を、相手の意思に反して繰り返すことがあれば、ストーカーとして法的に処罰の対象となる可能性があります。


よくある誤解:恋愛だけが動機とは限らない

「ストーカー=元恋人からのしつこい連絡」と考えがちですが、実際にはさまざまなケースがあります。

  • 仕事上のトラブルから恨みを持たれた

  • SNS上でやりとりしただけの相手から執着される

  • 近隣住民から一方的に親近感を抱かれた

ストーカー行為の動機が恋愛感情であっても、嫉妬や恨みであっても、「嫌がることを繰り返す」こと自体が問題です。


被害に気づいたらどうすればいい?

ストーカー被害に遭ってしまった場合は、次のような行動をできるだけ早く取りましょう。

1. 証拠を残す

・LINEや着信履歴を削除せず保存
・録音、写真、監視カメラなどの映像も有効
・日時・場所・内容を記録したメモも役立ちます

証拠は、警察や弁護士に相談する際の重要な材料になります。

2. 警察に相談する

ストーカー規制法に基づき、警察は警告や禁止命令、場合によっては逮捕などの対応を行います。

「これくらいなら我慢できるかも」と思わず、迷わず相談してください。
最寄りの警察署や「#9110(警察相談ダイヤル)」に連絡することができます。

3. 接触を避ける工夫を

  • 相手と直接連絡を取らない

  • 行動パターン(帰宅時間や通勤経路など)を変える

  • SNSの公開設定を見直す

物理的な距離だけでなく、情報的な距離を保つことも大切です。

4. 法的措置をとる

必要に応じて、次のような法的手続きが可能です。

  • 裁判所に接近禁止命令(保護命令)を申立てる

  • 慰謝料や損害賠償請求の民事手続き

  • 弁護士に相談して、安全と権利を守る選択肢を確認しましょう


一人で悩まないでください

ストーカー被害は、精神的にも体力的にも大きなストレスとなります。そして、「誰にも相談できない」と感じてしまう人も少なくありません。

けれども、あなたはひとりではありません。
法律も、支援制度も、専門家も、すぐそばにあります。

「怖い」と思った瞬間から、すでに行動する資格はあります。
ほんの小さな一歩でも、その一歩が、状況を変える力になります。


最後に

もしもあなたが「これってもしかして…」と思ったなら。
あるいは、周りに不安な様子の人がいたなら。
この情報を伝えてあげてください。

「法律は、あなたの味方になる」
そのことを、忘れないでいてください。