行政書士の報酬トラブルを防ぐために知っておきたいこと

1. はじめに

私たちリーリエ行政書士事務所(東京都江東区)では、日々多くのご相談をいただいております。その中でも近年、特に増えているのが「行政書士との報酬トラブル」に関するご相談です。

「着手金を払ったのに、その後何もしてもらえなかった」 「最初に聞いていたよりも、最終的な請求額がはるかに高額だった」

このようなトラブルの形はさまざまですが、多くの場合、依頼者の方が「まさかこんなことになるとは」と困惑されています。こうした事態を未然に防ぐには、行政書士に依頼する前に知っておくべき基本的な知識があります。

行政書士は、皆さんの困り事を法的な手続きで解決する専門家です。

本来、皆さんの味方であるはずの行政書士との間でトラブルが起きないよう、この記事では、行政書士との報酬に関するトラブルの実例や、契約時の注意点、そして信頼できる専門家を選ぶポイントまで、具体的に解説します。


この記事でわかること

  • 行政書士報酬の仕組みとよくある誤解
  • 報酬トラブルの典型的なパターンと回避法
  • 信頼できる行政書士の見極め方と事前準備

2. 背景と基本知識の解説

行政書士は、皆さんの代わりに役所への各種許認可申請を行ったり、契約書の作成や内容証明郵便の送付など、法律に関する書面を作成したり、提出をサポートする専門職です。

取り扱う業務が非常に多岐にわたるため、報酬の決め方も事務所によって様々なパターンがあります。


行政書士報酬の仕組み

一般的に行政書士の報酬は、次のような形式で決まることが多いです。

  • 着手金+成功報酬型 業務を始める際に「着手金」を支払い、業務が成功した場合に「成功報酬」を支払う形式です。
  • 定額制 業務内容に対してあらかじめ決まった金額を支払う形式です。例えば「〇〇の申請なら一律〇万円」といった具合です。
  • 時間単価制 行政書士が業務に費やした時間に応じて報酬を支払う形式です。

重要なのは、行政書士の報酬には明確な統一基準がないということです。弁護士や税理士のように、以前は報酬基準がありましたが、現在は自由化されており、それぞれの行政書士事務所が独自に報酬額を定めています。そのため、依頼人と行政書士との間の契約内容に基づいて、報酬が決定されることになります。


報酬トラブルが起きる背景とよくある誤解

行政書士との間で報酬トラブルが起こる背景には、いくつか共通した原因があります。

  • 料金の不透明さ  事前に料金体系について十分な説明がなかったり、見積もりが曖昧だったりする場合です。
  • 説明不足  業務内容や報酬の範囲、追加で料金が発生する可能性について、行政書士からの説明が不十分だった場合です。
  • 成果への誤解  依頼者が業務の「成功」を誤解していたり、行政書士と依頼者の間で成果の認識にズレがあったりする場合です。

特に、初めて行政書士に依頼する方にとっては、行政手続きや法律に関する専門用語、業務内容の理解が不十分なまま契約に進んでしまうことが、トラブルの原因になることも少なくありません。

例えば、「この依頼内容なら簡単そうだから費用も安いはず」「無料相談だから、そのまま契約も無料で済む」といった誤解が生じやすい傾向があります。

これらの誤解は、行政書士からの事前説明と、契約書の内容をしっかり確認することが非常に重要であることを示しています。

行政書士は、法律の専門家として、皆さんの問題を解決するための最適な方法を提案します。

そのため、早い段階で行政書士に相談することで、手続きの流れや費用感を把握し、誤解を防ぎ、トラブルを未然に回避できるというメリットがあります。

3. 事例紹介

ここでは、行政書士との報酬トラブルで実際にあった事例を3つご紹介します。これらの事例から、どんな点に注意すべきかが見えてくるはずです。


事例1  着手金だけ支払い、その後音信不通に

  • 状況  60代の男性Aさんは、複雑な相続手続きで行政書士に相談し、業務の着手金として5万円を支払いました。しかし、その後行政書士から1か月以上連絡がなく、Aさんが何度電話をかけても繋がりません。不信感を抱いたAさんは、最終的に契約書を確認しましたが、業務内容が「相続手続き一式」と曖昧に書かれているだけで、具体的な作業内容や進捗報告の義務についての記載がありませんでした。そのため、着手金の返還交渉も難航してしまいました。

  • この事例からわかること  契約書に具体的な業務内容や進捗報告の義務、そして返金条件が明確に記載されていない場合、トラブル発生時に泣き寝入りしてしまうリスクがあります。口頭での約束だけでなく、必ず書面で明確な契約を結ぶことが重要です。


事例2  「成功報酬」がいつまでも請求され続けた

  • 状況  40代の女性Bさんは、飲食店の開業にあたり、補助金申請サポートを行政書士に依頼しました。初回相談時には「基本は成功報酬型なので、補助金がもらえれば費用がかかる」と説明を受け、安心していました。しかし、補助金申請後も、行政書士から「追加書類の作成」「関係機関との調整」など、様々な名目で追加業務が発生し、その都度費用が加算されました。最終的に、当初予定していた金額の3倍近い請求を受け、Bさんは納得がいきませんでした。

  • この事例からわかること  「成功報酬」という言葉の解釈にズレが生じることがあります。「何をもって成功とするのか」「成功報酬以外に追加で費用が発生する可能性はあるのか、その場合の内訳は何か」など、具体的な費用発生の条件を契約前にしっかり確認し、書面に明記してもらうことが不可欠です。


事例3  見積もりと異なる請求額

  • 状況  30代の夫婦Cさんは、建設業許可の申請を行政書士に依頼しました。初回見積もりでは「申請費用は15万円」と説明され、納得して依頼しました。しかし、申請書類の作成中に、過去の資料不足や追加の証明書取得が必要となり、その修正や追加対応のために行政書士から「追加費用が発生する」と告げられました。最終的な請求額は25万円と、当初の見積もりから大幅に増額。Cさんは、なぜ増額になったのか明細が不明確だったこともあり、不信感を抱きました。

  • この事例からわかること  見積もりはあくまで目安であり、業務を進める中で追加費用が発生する可能性はあります。しかし、その場合でも、「どのような場合に、どのくらいの追加費用が発生するのか」を事前に説明してもらい、追加費用が発生する際にはその都度、具体的な明細と理由を提示してもらうことが重要です。


これらの事例からわかるように、行政書士との間で報酬トラブルを防ぐためには、「事前説明の丁寧さ」「契約書の明確さ」「業務進捗と費用の共有」が非常に重要です。

依頼者側も、専門家任せにするのではなく、内容を理解したうえで、慎重に話を進める必要があります。

対応が遅れたり、曖牲なまま契約を進めたりすると、後で精神的な負担や金銭的な損失を被るリスクが高まります。

4. アドバイス

行政書士との報酬トラブルを未然に防ぎ、安心して依頼するためには、いくつかの大切なポイントがあります。


報酬トラブルを避けるために必ず確認すべき3点

  1. 「書面契約」をすること  口頭での約束は、後々「言った言わない」のトラブルになりがちです。業務内容、報酬額、費用の支払い時期、支払い方法、そして万が一業務が完了しなかった場合の対応や返金条件など、全てを明確に書面で明示してもらうことが必須です。契約書の内容は、隅々までしっかり読み込み、疑問点はその場で質問して解消しましょう。

 

  2.「説明内容の記録」を残すこと  事前相談や見積もりの段階で、行政書士からの説明をメモしたり、可能であれば相手に承諾を得て録音したりすることをお勧めします。

これにより、後から「こんな説明は聞いていない」という事態を防ぎ、証拠として残すことができます。

 

 3.「信頼できる専門家選び」をすること

    • 行政書士会に登録されているか確認する  行政書士は、必ず日本行政書士会連合会に登録されています。事務所のウェブサイトなどで登録番号が確認できるか、あるいは行政書士会のウェブサイトで検索して確認しましょう。
    • 業務実績が公開されているか  これまでの実績や専門分野が明確に示されている事務所は、信頼できる可能性が高いです。
    • 口コミや評判も参考にする  インターネット上の口コミサイトやSNSなども参考に、実際に依頼した人の声を確認してみましょう。ただし、あくまで参考程度にとどめ、鵜呑みにしすぎないことも大切です。
    • 初回相談時の対応で判断する  質問に対して丁寧に答えてくれるか、分かりやすく説明してくれるか、費用について隠さず透明性を持って話してくれるかなど、対応の誠実さを見極めましょう。

自分で対処する場合と専門家に相談しないリスク

もし報酬トラブルがすでに発生してしまった場合、自分で対処することもできます。

国や自治体によっては、弁護士による無料相談窓口を設けているところもありますので、利用を検討するのも一つの選択肢です。

しかし、行政手続きや契約書の内容は専門的な知識が必要なことが多く、ご自身だけで対応するのは非常に困難な場合があります。

相手も法律の専門家であるため、個人で交渉してもなかなか進展しないことも考えられます。

そのため、やはり早い段階で、別の行政書士や弁護士といった専門家に相談することが望ましいと言えます。

専門家に相談しないリスクは、問題が長期化して精神的な負担が増大したり、最終的に泣き寝入りしてしまったりする可能性があることです。

事前に相談内容をまとめておくと、専門家も状況を早く把握でき、的確なアドバイスをもらえるため、相談をスムーズに進められます。


5. まとめと次のアクションの提案

この記事では、行政書士との報酬トラブルについて、その仕組み、典型的な事例、そしてトラブルを防ぐための具体的な対処法を解説しました。

最も重要なのは、「契約前に内容を徹底的に確認すること」「曖昧な点はそのままにせず質問すること」「口頭ではなく書面として残すこと」です。

行政書士に依頼することは、皆さんの人生における大切な場面で、法的側面からサポートを得るための有効な手段です。

だからこそ、安心して依頼できる専門家を選ぶことが不可欠です。

現在、「行政書士に何か依頼したいけれど費用面で不安がある」「過去に専門家との請求で納得できなかった経験がある」と感じている方も、まずは信頼できる専門家にご相談いただくことから始めましょう。

リーリエ行政書士事務所では、初回のご相談にて、費用の内訳や料金体系、そして業務範囲について、お客様に寄り添いながら丁寧にご説明しております。

透明な報酬設定と、分かりやすく詳細が明記された明朗な契約書によって、お客様が安心してご依頼いただける体制を整えています。

「この内容でいくらかかるのか具体的に知りたい」「契約書をしっかり確認してから判断したい」といったご希望にも柔軟に対応いたしますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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