少額訴訟とは?小さな金銭トラブルに“納得”でけじめをつける方法
「数万円の未払い…でも弁護士に頼むほどではない」
「泣き寝入りするしかないのかな?」
そんなふうに感じた経験はありませんか?
日本には、60万円以下の金銭トラブルに対応できる「少額訴訟」という制度があります。
これは、費用を抑えてスピーディに解決できる“等身大の裁判手続き”です。
この記事では、少額訴訟の仕組みと流れ、メリットや注意点までわかりやすく解説します。
少額訴訟とは?〜少額トラブルに対応する簡易裁判制度〜
少額訴訟とは、民事訴訟の一種で、「60万円以下の金銭請求」に限って利用できる特別な制度です。
通常の裁判と違い、原則として1回の審理で結論が出るのが特徴。手続きが簡単で、専門家に頼らずに自分で進めることも可能です。
少額訴訟の主な対象となるケース
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貸したお金が返ってこない(貸金返還請求)
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通販で不良品が届いた(売買代金の返還)
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敷金が返ってこない(賃貸契約のトラブル)
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サービス代金を払ったのに提供されない(報酬トラブル)
※ただし、離婚や養育費など家族に関する問題は対象外です。
手続きの流れ:たった3ステップで進行
少額訴訟は、次のようなシンプルな流れで進みます。
① 訴状の提出
簡易裁判所に「少額訴訟用訴状」を提出します(書式は裁判所で配布、もしくはWebから入手可能)。
② 審理日(期日)の通知
裁判所が期日(審理日)を決定し、原告・被告の両者に通知します。
③ 口頭弁論(審理)
原則1回で審理が行われ、双方が証拠や主張を述べたあと、その場で判決が出ます。
※内容が複雑な場合、通常訴訟に切り替えられることもあります。
少額訴訟のメリット:気軽に利用できる3つの理由
1. スピード解決
原則1日で審理が終わるため、迅速な解決が可能。精神的な負担も軽減されます。
2. 費用が安い
必要なのは印紙代・郵便切手代程度。たとえば10万円の請求で印紙代は約1,000円。
3. 弁護士不要でOK
本人だけで手続き可能。書類の書き方も比較的シンプルで、裁判所でのサポートも受けられます。
注意点と限界:すべてのケースに適しているわけではない
以下のようなケースでは、少額訴訟が適さない場合もあります。
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相手が企業などで、通常訴訟への切替を求めてくる場合
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判決に不満があっても、控訴はできず「異議申立て」による再審しかできない
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複数の関係者や複雑な証拠が絡むときは、通常訴訟の方が適していることも
“手軽さ”が強調されがちな制度ですが、使いどころを誤らないことが大切です。
最後に:少額でも「納得」と「けじめ」のために
少額訴訟は、“気軽な裁判”ではなく、“納得のための手段”です。
「たかが数万円」と思われがちですが、その金額には時間や労力、信頼関係の損失も含まれています。
「自分の声を届けたい」
「けじめをつけたい」
そう思ったときに、少額訴訟という選択肢があることを、ぜひ覚えておいてください。